オリーブの花より祝福を

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 そこにいたのは、先ほど乗り込む直前に会った男だった。  男はまるでロイドが来ることを予期していたかのように、ロイドを見ても驚くことなく穏やかに微笑んだ。 「待ってたよ、ロイド君。いや、殺し屋さんかな?」  どうして知っている? 混乱したロイドが唸るのを見て、男はサプライズが成功した子供みたいに楽し気な顔をした。 「……あなたが、エドワー・ジョンソンだったんですか」 「うん、そう。君はもう知ってるものかと思ってたけど、その反応を見る限りそんなことなかったんだね」 「……いくつか、確認したいんですけど」 「いいよ。何でも聞くといい」 「あなたが爆弾を仕掛けるつもりというのは本当ですか?」 「ホント。そんなの確かめずに殺しちゃえばいいのに。君、殺し屋でしょ?」  それを聞いてロイドは絶句する。男の態度はどう見ても今から殺されようとしている人物の態度ではなかった。これじゃあ、どっちが殺される側だか分からない。 「ま、ってください。あなたは、俺がここに来ることも、あなたを殺そうとしていることも知っている?」 「呼んだのは僕だからね」 「あなたが、俺に依頼してきたってことですか?」 「ロイド君は、来世って信じるかい?」 「はあ?」  唐突だった。何の脈絡もなくそんなことを言う男に、ロイドは思わず素っ頓狂な声を返す。そうしてすぐに相手のペースに呑まれていることに気が付いて、一つ息を吐いた。 「……信じ、たいとは思います。その質問に意味はありますか?」 「いや、聞いただけだよ」  ロイドは露骨にため息をついて、周囲を伺う。部屋の中に、他の人影があるわけでもない。罠という訳でもなさそうに思える。
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