モラトリアム

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あの日飛び出していったのは 私ではなく街だった と歌う歌手 正しかった 今思い返せば何もかも 間違っていたのはタイミングだけで 私もあなたも何一つ 間違ってはいなかったのだ 自分の稼ぎでは何一つできないんじゃない? あなたの友達って という私の友達のことばに 私自身ぐうの音も出ない それでもお小遣い程度に私は稼いでいるし 一応家事はしているのだ と 自分を正当化する自分が悲しい 生活とお金と環境は 全てが関わりあっていて どれかひとつがおかしくなってしまっても いけない いけないのだ すべてを潤滑にまわすために 一緒に考えてくれるひとがいる 社会は本当につらいものだけれど ふと そのひとのことを思い出す度 すこしだけ 安心するのだ この借りぐらしの二人住まい リビングから見える青空は どこまでもどこまでも広がって 時には「モラトリアム」の私を許そうと 今週の献立を決めていく
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