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帰宅したあたしを出迎えたのは地元ケーブルテレビのニュースだった。祖母と両親はリビングでそのニュースを眺めていた。
「美子、今日の大会のニュースやってるよ」
今日の詠み手を担当したアナウンサーがスタジオで今日の城南市民かるた大会のニュースを読み上げる。
「今年度の決勝戦の組み合わせも去年と同じ若き名人とクイーンの組み合わせとなり、この二人は同じクラスの同級生で――」
あたしと瑠璃が並んで歩いているところが映し出される。それを見て祖母は驚きつつも満面の笑みを見せる。
「おんやまぁ、黒の袴の坊ンズに白無垢の美子…… あたしの若い頃の嫁入りみたいだよ! 雛人形をすぐにしまっておいてよかったよ」
あたしの雛人形は三月二日には出して、三月三日の夕方にはもうしまう。嫁入りが遅れるという迷信を未だに信じている祖母の方針からくるものである。それに白無垢って…… 不退転の意味の喪服じゃなかったのだろうか。
「もう、お母さんったら」
「本当は一生出しておきたいんだけどな」と父。これはこれでとんでもない。
あたしはまるで自分の神前式の結婚式の入場を見ているような感じがして照れくさくなり、慌てて自室へと駆け込んだ。胸は熱いままだ…… どうなっているんだ…… あたしの体は……
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