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6時半に目が覚めた、ベッドでは一昨日知り合った女の子がカワイイ寝息をたててスヤスヤと寝ている、今日の予定を思い出しブルーな気分になったが、彼女の寝顔を見ているとなんかどうでも良くなった。
「おはよう、ぐっすり寝てたから起こさなかったよ」
既に9時前、完全にアウトだ。
「Yシャツ?もしかして仕事?!」
「いーよ、どうせ遅刻だ」
「今行っても怒られるしあと1時間過ぎてから行っても怒られるし、大丈夫だよ」
上司に怒られる憂鬱感を彼女が心配してくれた幸福感が上回った。
「コーヒー飲む?」
「飲む」
「Tシャツと短パンやるからそれでホテル戻ってね」
「水着、乾いてるね」
やっぱり白のビキニなんて下着以外の何者にも見えない、中古の軽が似合わない場所へ二人で向かう車中、ラジオだけが古臭い音楽で場を取り繕う中、彼女が聞いてきた。
「仕事、何してるの?」
「高校教師」
「うそ」
「最後に嘘ついてどーすんだよ」
「…変な先生」
「よく言われる」
昨日よりもっと似合わない場所、リゾートホテルの正面玄関、ポーターは怪訝な顔をしながらも助手席のドアを開けてくれた。
『またね』なんて言わなかった。
「バイバイ」
「バイバイ」
彼女がホテルの玄関に向かって歩き出すと俺も車を動かした、彼女が振り向かない事は何となく分かっていたから。
俺達はそれで別れた。
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