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「た、助けて…」
社の奥から声がした、慌てて海に入ると波が来るたび足が取られる、あんなスカート履いてよく奥まで行けたな、なんて変な感心してる場合じゃない。
岩に掴まりながら社まで辿り着くとへたり込む彼女が居た、崖と大岩の隙間は人ひとり引きずり込むには狭すぎた、ほっ、と安堵のため息が漏れる。
干潮時とはいえ、へたり込む彼女のみぞおち辺りまでは水に浸かっている、潮が満ちて来たらそれこそお陀仏だ、彼女に近づき手を伸ばす。
「立てるか?」
「無理、スカートが引っかかってるみたい」
「だから言わんこっちゃない」
彼女越しに手を伸ばして引っかかったスカートを外そうとしたが、スカートがあまりにもひらひらと波に揺れてちょっと無理そうだった。
「もうこれ引っ張るよ?」
「え?破けちゃう」
「仕方ないでしょ」
この期に及んでなにを言ってんだこいつは、とんだパワースポットもあったもんだ、彼女は観念したのか俺に向かって両手を広げた、抱き合う様な体勢で一気に引っ張った。
ビリビリッ
スカートが裂け彼女は立ち上がったが、急な流れは絶えずスカートの裾を引き込もうとしている。
「それ何とかしないとまた引っ張られるよ?」
「ん」
スカートをめくり上げて腰の辺りで縛り直す、下は水着と言っていたけど、白のビキニなんて普通の下着と変わらんがな。
「怪我してない?」
「大丈夫ちょっとびっくりしただけ」
二人とも既にびしょ濡れだ、坂道まで手を引いて戻ると、彼女は泣き出した。
「うぇぇえぇぇ、怖かったよ〜」
振り向いた時、急な坂道に座り込む様な体勢になった俺に抱きついてきた、まあ、そうだろうな、落ち着くように背中を軽くたたいてやる。
しばらくそうしていると落ち着いたのか、俺の肩に手を置き立ち上がった、少し潤んだ瞳のせいか、吊り橋効果か、もう1度彼女を抱き締めたくなった。
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