「嘘みたいな本当の話」的なエロス

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 アパートの駐車場から部屋に入るまで、ずっと彼女の手を握っていた、服のまま風呂場に入った後に気がついたが、彼女は磯歩き用のシューズさえ脱いでいない、が、今はそんな事大した問題じゃない。  蛇口をひねるとまだ冷たい水が顔にかかる、段々と温まるシャワーを、砂にまみれたままのシューズを脱いでいる足元にかけてやる。  俺の右手はシャワーのヘッド、左手は彼女の右手、一本だけ自由に動く彼女の左手が俺の首にしがみつく。  引き寄せられるままに唇を重ねる、強く押し合う様に、お互いの上唇と下唇を優しく喰む様に。 …ん、ん 「しょっぱ」 「あなたも」  お互い同じ事を言い合って、また、唇をあわせる、靴を脱ぎ終わったかどうかは分からないけど、シャワーを壁のフックに戻し、自由になった右腕で、彼女の細い腰を抱き寄せた。 ぁ…  彼女の下腹部が、俺のペニスが硬くなっているのを感じ取ると、自然と握っていた手を放し、お互いが相手の衣服に手をかける。  カチャカチャ、と、金属音がして俺のベルトが解けると、続けてジッパーに手が掛かるが、ワンピースのスカートを、腰の位置までめくり上げられた彼女が言った。 「待って、ボタン…」  自分で襟元と胸元のボタンを外すと、そのまま両手を上げ、上目遣いに俺を見る、ソロソロとワンピースをめくり上げると、ビキニのブラが(あらわ)になった。 「下着だよね?」 「水着だよぅ…」  ベチャッ!  彼女の服を風呂場の床に落とした、意外と大きな音がした。  下着と言われたことで恥じらいが出たのか、胸を隠すように、腕を組みながらうつむいた、俺は、その間に自分のシャツを脱ぎすて、彼女を抱き寄せた。 「あれ?フロントホック?」 「ん」  水着のブラの背中はつるりとしていてホックがついていなかった、胸の前で組まれた彼女の腕をキュッと掴むと、形だけの抵抗をした後、ダラリと垂れ下がる。  キスをしながら、胸の中央に右手を添えて留め具をスライドさせる、圧迫されていた胸の膨らみは、拘束していた水着を押し返し、自由になった姿をさらけ出した。  俺は彼女の両腕を掴みながら、段々と前かがみになる、首すじ、鎖骨と舌を這わせると、ピクンと身震いしながら、あっ…あっ…と小さな声が漏れる、その声に興奮した俺は、柔らかな胸を越え、乳首の先端を咥えようと考えた。 「ちょっと待っ…シャワー…」  身をよじらせながらの彼女の訴えと「やっぱちょっとしょっぱいな」と俺が思ったのはほとんど同時だった。
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