「嘘みたいな本当の話」的なエロス

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 10時45分、俺は受け持っている教室の前にいた、彼女に言った通りホントに高校教師だから、既に教頭からは怒られた後だ。  今はドアの陰から入るタイミングを伺っている所だ。 『夏休みも後10日あるけど、不規則な生活で生活リズムを崩さない様に』  今だ! ガラッ 「しないと、こんなふうに恥をかきますよ!ねぇ?上原センセイ?」  副担任の知念女史、8月だというのに濃紺のリクルートスーツみたいな服なんか着やがって嫌味ったらしいったらありゃしない、高校教師かお前は、あぁ高校教師でした。 「ハイ、知念先生ありがとうございます後は私が…」  入れ違いで教室を出ていこうとする知念先生とすれ違った時、彼女の眼鏡の奥の瞳がカッと見開かれた。 「上原先生、後で話があります」  あれ?知念先生、更に怒ってらっしゃる? 「先生、また遅刻ネタですかー?もう飽きたんですけどー」 「つーか体張りすぎー、首になりますよー」  フフフ、こんな事もあろうかと常日頃から遅刻ネタを仕込んでおいてよかったぜ… 「そうだなーこれ以上は、お前らの卒業式に遅刻するしかないからなー」 アハハハハ  何て素直な生徒達だ、担任の顔が見てみたいものだ、あ、俺か 「安心しろー、既に新ネタは仕込んであるー」  何も考えてないけど、2学期まで10日あるし。  最初に気付いたのは1列2列の女子だった ねぇあれ… うそマジで? だから怒って… 知念先生?… ヒソヒソ… ヒソヒソ…  それ(・・)が男子にも伝わるとヒソヒソがザワザワになった、クラス委員の島袋が手を上げる 「先生、新ネタってそれですか?」 「ん?」  首すじをチョンチョン突つきながら聞いてきた 「キスマーク」 おお〜、とか、やだーキモーいなんて聞こえてくる。  あの女、とんだ置土産だ…  つい昨日の出来事が、日常に流されて既に思い出の彼方へ消えさろうとしていたのに…。  さようなら    名前も聞かなかった         俺の恋人          終わり
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