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「タタリ君! お願いっ!! いいおまじないを教えてほしいのっ!! 」
パンッと目の前で両手を合わされ、崇は思わず目をしばたたかせた。
驚いたわけではない。
ただ単に風圧で目が乾いただけである。
「あのなぁ……、毎回言ってるけど、俺の名前は祟じゃなくて崇……」
「だって『祓い屋』って名字なんだから、そういうお家の人なんでしょ!? 得意でしょっ!? 詳しいでしょっ!?」
「いや、俺の名字は『祓い屋』じゃなくて『晴屋』……」
「もう何でもいいから教えなさいよっ!! 先輩に告白したいのっ!! 恋愛成就のおまじないのひとつやふたつやみっつ、知ってるでしょっ!?」
至極当然の反論を口にしたはずなのに、最後はなぜか逆ギレを喰らってしまった。
──理不尽だっ!!
「……タタリ、実に適当なアドバイスではないか。『自信を持って、ニッコリ笑ってハキハキと伝えること!』なんて。敬愛法でも教えてやれば良かったものを」
クラスメイトに揉まれてグッタリしていたら、クスクスという涼やかな笑い声が聞こえ
てきた。
声に答えるべくそのままのけぞるように顔を上げようとしたら、不意に視界が暗くなる。
それと同時に激痛が顔面を襲った。
「~~~~~っ!?」
「レディのスカートの中を覗こうとは何たる不埒な振る舞いか。タタリ、祟るぞえ?」
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