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「だーかーらーっ!! 現代ではこっちの方が価値が上なんだっつーのっ!! バーカバーカッ!!」
「阿呆がっ!! 穴が開いてない・金色じゃない・稲穂がないの三大ない貨幣に何の意味があるというのじゃっ!!」
普段静寂に包まれている境内に、かまびすしい言い争いの声が響いていた。
それを拝殿の傍らで聞くともなしに聞きながら、崇は小さく溜め息をつく。
あのてるてる坊主騒動から三日ほど柔らかく降り続いた雨がやんで、今日は穏やかな青空が広がっている。
そんな中、玉藻が出かけると言って出向いた先は、犬猿の仲であるはずの白蛇地神社だった。
何の用事なのかといぶかしく思っていたのだが、どうやらただの取り立てであったらしい。
基本的に玉藻はいつもお賽銭の五円だけでほぼ無償の働きをするのだが、今回はその五円がなかったとか何とか。
ケチなのか心が広いのか、よく分からない御仁である。
「いつまで昔の価値観引きずってんだよババア狐っ!!」
「賽銭の意味も分かっておらぬクソ蛇に言われたくないわっ!!」
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