お狐様とてるてる坊主 ―祓い屋タタリの事件帳―

1/54
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
 まどからおそとをみると、お日さまがしずんで、お空がまっかにそまっていた。  だけど、パパは、きょうもかえってこない。  ずっとずっとまって、おそとがくらくなって、ポツポツあかりがついても、パパはかえってこない。  あたしはママをみた。  ママはパパがかえってこなくても、ごはんのじゅんびをはじめる。  さいきん、夜のごはんはずっとママとふたりきり。  それまではずっと、パパがかえってくるのをまって、さんにんで食べていたのに。 「ねぇママ、きょうもパパはかえってこないの?」  あたしがきいても、ママは答えてくれない。  ムシしてるのかな?  本当に聞こえてないのかな?  ……わかんないけど、ママは、パパがかえってこなくなってから、こうやってよくぼんやりしているようになっちゃった。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!