お茶

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《ハニー》は、埼玉県南信用金庫の人事部部長の役員だ。その上司で、天皇とまで言われている会長と理事長を解任するのか。 (クーデター)クリスティーナの頭の中に、この言葉が浮かんだ。 クリスティーナに、その計画が語られたのは、役員会議の1週間前だった。それから今日までの日々は、まるで自分がその会議に参加するような気持ちで、緊張した毎日を過ごしていた。 クリスティーナも、《ハニー》から語られる、 会長・理事長の悪行に辟易し、憤りを感じていた。 できることなら、自分も解任賛成に手を上げたいくらいだ。 だから先程の《ハニー》からの電話は、心底嬉しかった。今日はお祝いだわ。 クリスティーナは、足取りも軽く、夕飯の買い物に出掛けた。 18時過ぎに、玄関の鍵が開く音がした。 急いで玄関に行き、《ハニー》を出迎えた。 今日は腕を振るって、料理を作ったことを話すが、 厳しい顔のままの《ハニー》から語られたのは、 解任された会長と理事長が、マイスィートホームに 来るかもしれないとのことだった。 《ハニー》からは、あの2人は簡単にはあきらめないだろう、自分や他の役員、総代を言いくるめて、復帰を画策するであろう。 もしかすると今日、うちに乗り込んでくるかもしれないと言うのだ。 居留守を使えばいいわ!来ても追い返してやるわ! クリスティーナは、《ハニー》に言うが、 来たら来たで、話すことがあると言い、応じてくれなかった。 それからクリスティーナは、急いで居間や玄関を掃除した。 何がきっかで《ハニー》を陥れるか分からない。 緊張した時間を過ごすなか、7時半頃だった。 (ピンポーン)来客を告げる音が、室内に響いた。
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