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お茶
(ピリリリ・・・ピリリリ)
午後4時、携帯の着信音が室内に鳴り響いた。
小泉クリスティーナにとって、それは待ちわびていた音でもあり、不安にさせる音でもあった。
携帯の画面を確認する。
《ハニー》
と名前が表示されている。
クリスティーナは、携帯の通話ボタンを押し、
「もしもし」と《ハニー》に向かって話しかけた。
「俺だ。無事上手くいったぞ。」
《ハニー》からのその一言で、
クリスティーナは、ホッと胸を撫でおろす。
「おめでとうございます。」と伝えると、
「ありがとう。だがまだ終わっていない、
これから1件 総代の所に寄って、帰るから。」
《ハニー》はそう告げると、電話を切った。
クリスティーナは、ここ数か月の《ハニー》の様子を思い返してみる。ずっと不機嫌というか、ピリピリしている様子が伝わってきた。
仕事で何か悩みがあるのかと考えたりもした。
「今日は遅くなる」と言われ、飲んで帰ってくると
思ったら、シラフのまま帰宅することもあった。
そんな悶々とした日々を過ごしているうちに、
クリスティーナの我慢も、限界になりそうなとき
《ハニー》に「話がある」と言われた。
夕食後、ドキドキしながら、彼の前に座った。
《ハニー》は開口一番
「心配かけてすまなかった。」と詫びた。
何を謝られているのか分からないクリスティーナは、謝るよりも、何が起こっているのか?何をしているのか?教えて欲しいと懇願した。
《ハニー》の口から出た言葉に、
クリスティーナは驚愕し、目を丸くした。
「次の役員会議で、会長と理事長を解任する。」
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