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エピローグ 就任挨拶
今、私は本店の10階会議室にいる。
先程の臨時の役員会議で、私の理事長就任が決まった。
あの震災から2週間が経過した。
いまだ収まらない余震
先の見えない原発事故
それにともなう計画停電
この状況に、井川理事長は高齢の自分では、もはやこの事態を対処することができないと、退任を申し出た。
そして、私もこの状況で、自分のわがままだけで、支店長を
続けることはできないと思い、3度目の理事長就任を承諾した。
そして、今日は先程の役員会議を受け、この大変な中だが、
全役職員に1時間早く出勤してもらい、
本店・支店に向けて、私が就任の挨拶を行うことになっている。
本店の勤務者には、できるだけこの会議室に集まってもらい、
支店には、テレビで私の挨拶を聴けるように繋げた。
この緊急役員会議で、専務から副理事長へと昇格した酒井副理事長が、
マイクを握り、簡単な挨拶を済ませたあと、
震災で亡くなられた方への、黙とうを行った。そして、
「それでは左近理事長より、就任のご挨拶があります。」
と、全職員に注目するよう告げた。
私は用意された一段高い壇上にあがり、酒井副理事長から渡されたマイクを握った。
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