事の発端

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事の発端

今回は僕が初恋の人と20年前の夏、同じ日にこの海であった出来事をまた同じ風景を見ながら書き残そうと思う。事の発端は小学生のころ、僕の片思いの女の子、美咲が遠くに引っ越すとクラスで発表された。もともと人気者だったのであの時のクラスの落ち込み様ったらなかった。 その次の日、その子の親から明日はこのクラス全員で学校を休んで海に行こうという話になった。今思えばそこは比較的安全な海だったにしろ、まだ泳ぐことも知らない小学生たちだけで行くには危なかったと思う。だが、学校はもともと田舎だったので大した校則もないので簡単に許可した。親たちにももう許可はもらっていたらしい。 というわけで、みんなで海に行くことになった俺たちは学校のバスで近くの海についてから、アイスパーティやら、砂の城づくりコンテストやら、岬へのお別れの言葉やらで、本当に楽しかった。今思えば美咲の親は本当にお金持ちだったのだろう。ビッグなイベントとかは終わり、みんなで普通に話しているといきなり俺のただ一人美咲への思いを知っている親友、大地が飲んでいたジュースを美咲の顔に派手にこぼしてしまった。泣きそうな美咲に対して大地は「あーー!!ごめんね美咲ちゃん。トイレの場所知ってる輝(俺の名前)に連れて行ってもらいなよ」「うん、そうする」。 そう言って俺がトイレの近くまで連れていくことになった。大地を見るとウィンクをしてにやりと笑っていた。大地は大人より気が利く小学生だ。 二十年たった今でも親友だがこんな風に世渡りが上手で俺とは比べ物にならないくらい昇進して今はどこかの社長秘書だ。 そんなこんなで僕は彼女に自分の思いを伝える決心をした。だからとりあえず美咲が出てきたときに彼女の手をつかんで、「あっち行こ。」と誘ったら、彼女も嬉しそうに「うん、行く!!」と嬉しそうについて行った
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