嘘つき、嘘に溺れる

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「ええ、もちろん、大丈夫です。秀の体調が良くなり次第、一緒に行きます」  笑顔で、俺は答える。ああ、また言っちゃったよ。  途端、おばさんの顔がぱあっと輝いた。 「本当に? いつもごめんなさいね。ありがとう、助かるわ」 「いえ……」  俺はか細く言った。 「じゃあ、私は仕事に行くから……。あと、お願いね」  おばさんは俺の肩を軽くたたく。それから、玄関先にパタパタと駆けていくと、そのまま外へ出て行ってしまった。バタン、と玄関のドアが閉まる音を聞いてから、俺は深々と息を吐き出した。  仕方ないから、秀の部屋に引き返した。秀はさっきまでとなんら変わらず、布団に潜ったまま呻き続けていた。  なんでこんなことになってしまったのか。そんなこと、わかりきっているから、今更考えない。自問自答は答えがなかなか出ないときにするものだ。そしてこの答えはきっと、ずっと出ないままなのだと思う。 「秀」  返事がないのはわかりきっているから、一方的に投げかけた。 「昼からは学校に行くからな」
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