JK幽霊の暇つぶし

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 しかしいつも単純なイジメばかりじゃない。ある時には、意地悪に念を入れて、盗った上履きを泥で汚した子がいた。  なんてひどいことをするのだろう。  夜になると、私は怒りにまかせてイジメっ子の体操着で、汚れた上履きをゴシゴシこすって泥を落としてあげた。本当は汚れた上履きは洗ってあげたかったけれど、朝までに乾かなかったら困る。  そのかわりと言ってはなんだが、イジメっ子の上履きを、代わりにドロッドロに汚して、逆に隠しておいた。隠した場所は清掃用具が入っているロッカーの中だ。私が隠した上履きは、登校してきたイジメっ子が、教室や下駄箱をいくら探しても見つからないのに、掃除の時間には必ず見つかる仕掛けだ。  なぜ探しても見つからないのかというと、ロッカーはイタズラ防止のため、鍵がかかっているからだ。その鍵は担任の先生の机の中に保管されている。しかも職員室には、全校生徒が帰るまで、毎日最低でも一人は先生が残っている。誰にも見つからずに上履きを隠せる人間はいないとなれば、鍵を借りてまで探そうとは思わないのが普通だ。  隠せるものはいない……そう、夜の私以外には。  幽霊の私は夜になると少しパワーアップする。だから軽い物は持ち上げられるし、鍵を開けたりする位は簡単だ。夜の学校は無人だから、上履きが空中をぷかぷかと浮かんで移動し、ひとりでにロッカーに入るところを見られる心配もない。
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