JK幽霊の暇つぶし

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 幽霊になったばかりの時は、学校からイジメを撲滅したら成仏出来るんじゃないかと思っていた。しかし「復讐の座敷童がいる」と学校中で信じられるようになり、イジメはほとんどなくなったにも関わらず、私が成仏できそうな気配は全然ない。 どうやら私の心残りは、イジメをなくすだけでは解消されないらしい。しかしそうなると、イジメがなくなったのは嬉しいことだけど、みんなと遊ぶ機会が減ってしまって少しつまらない。  そういう訳で、このところ退屈していたのだが、パトロールと称してふわふわと学校中を飛び回っていたら、一人の女の子が目についた。両手を組んで顎にあて、横目で何かをじっと見ている。そしてほうっと息をつくと、うつむいて口元に笑みを浮かばせた。そしてまた横目でじっと何かを見つめている。  彼女の視線を、「テン、テン、テン……」といいながら指で追ってみる。「なーるほど!」私はにんまりした。 どうやら新しい暇つぶしが見つかったらしい。指さした先には、笑っている男の子がいた。つまり……彼女はあの男の子が好きなんだ!  「決ーめた。あの子の恋のキューピットになってあげようっと」  私はクスクス、と笑った。いじめっ子に仕返しするよりも面白そうだ。
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