JK幽霊の暇つぶし

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 まずは彼女についてよく知らなければ、対策が立てられない。そこで彼女に付いて回って調べてみた。名前は三浦和歌。古風でかわいい名前だと思う。仲のいい友達は何人かいるようだが、特に仲がいい友達が一人。血液型はA型。英語部(週に一回、字幕付きの映画を観るだけ)でアルバイトはしていない。兄妹はいない。運動神経は生前の私と同じくらいだ。  そして肝心な恋の相手は西君と言うらしい。なかなかカッコいいし優しそうで、和歌が好きになるのもうなずけた。  だ・け・ど…、「なかなかやりがいのある仕事だわー」と私は大きな声で言った。みんなには私の声は聞こえないから、声を潜める必要なんかない。  「大体、和歌は地味すぎるのよ。スカートの裾は長すぎるし、前髪も長くて目が隠れちゃっている。制服のリボンもギュッときつく結びすぎ。もうちょっとふんわりと結ぶと、可愛さがぐっとあがるのに」  和歌はおとなしいので性格的にも目立たない。彼女の良さも、本人を知ってもらわなければ伝わらない。  私は自分の胸の、ふんわりとキュートに結べているリボンを触った。幽霊の私には、シャーペンの芯を折る位の事はできても、あの子のリボンを結び直してあげることはできない。どうやって伝えようか?
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