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ポキッ……。
「あっ、また……」黒い詰め襟の生徒が小さく呟いて、カチカチ、とシャープペンをノックして芯を出した。しかし……、ポキッ……とまた芯が折れる。
折れたシャーペンの芯が答案用紙に残した黒い線を、消しゴムで乱暴に消しながら、その男子生徒はチッと苛立たし気に舌打ちした。
カチカチ、とまた芯を出したが、芯が折れて短くなっていたのだろう。次に書こうとしたら芯がシャープペンの軸の中に引っ込んでしまった。短くなった芯を引き抜いて、新しい芯を入れる。
……ポキッ……
男子生徒の顔が徐々に強張る。ポキッ……、シャープペンを持つ手が小刻みに震えだした。カチカチ、ポキッ。カチカチ、ポキッ。カチカチ、ポキッ……。何度やっても同じことだ。
震える親指で、シャープペンのてっぺんをカチリ、と一回だけ押す。ほんの少ししか芯は出ていない。さすがにもう折れることはなかったが、少し書くとガリッと解答用紙をこすってしまった。
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