JK幽霊の暇つぶし

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 私は気を取り直して、西くんに付いて回った。西くんの見ている世界は、和歌とはまた全然違った。西くんの背の高さに合わせて歩くと、それだけで風景が変わる。西くんはいい匂いだし、声も素敵だ。男の子同士でふざけあうのを見るのも楽しいし、ちょっとドギツイ冗談ですらカレーのスパイスのようなものだ。  和歌の世界が春の日差しようなほんわかした暖かさだとすれば、西君の世界は初夏の風のような爽やかさだ。それに一緒にいるとなぜだか気持ちがすーっと落ち着くのはなぜなんだろう? ふわふわ漂っていると、ふと和歌が視界に入ってきた。  「和歌、やっぱり前髪をピンで留めて可愛くなったなー」と思わず独り言を言う。 幽霊になってから、誰にも聞かれる心配がないので、考えるよりも声に出して言ってしまうようになってしまった。和歌は廊下を友だち数人と歩いて行く。背が低いせいか、ぴょんぴょん跳ねるような和歌の足取りに、私の気持ちも浮きたつようでクスクス笑ってしまう。  和歌と友達が廊下に設置されている水道場に差し掛かった時、私は思わず「危ない!」と叫んでいた。けれど和歌に私のたった一回だけの声が聞こえるはずもなく……、和歌は盛大に水を浴びてしまった。男子が廊下の水道で水を飛ばしてふざけていたのだ。
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