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「どうしたの? お腹でも痛いの?」
一緒にいた二階堂えりも立ち止まる。
和歌はえりのスカートを眺めると、「えりのスカートって…。裾上げしているの?」と、聞いた。えりのスカートはかなり短めだ。すらりとした足によく似合っている。
「ちがうよ。ホラ、この腰の所で巻き込んでいるだけ」
二階堂えりは、気安く自分の制服の上着をめくってスカートが巻き込まれているウエストを和歌に見せる。
「和歌のスカートはちょっと長いから、和歌も折り込めば?」
えりは返事を聞かずに手を伸ばすと、クルクルッと手慣れた手つきで和歌のスカートのウエストを二回巻き込んだ。
「ほら、こっちの方がいいよ。ちょっと短くするだけでも違うよ」とうなずく。「簡単でしょ?」
簡単でしょ、というえりの言葉が突き刺さる。私には全然簡単なことじゃなかった。体がないって……、不便だ。
確かに前髪とスカートの変化で、和歌の可愛さは三割増しになった。でも……。人魚姫って、こんな気持ちだったのかな、と思う。本当は自分が嵐から王子様を助けたのに、たまたま通りかかった隣の国のお姫様に手柄を横取りされてしまった、みたいな。
(違うか……。えりは実際にスカートを折り曲げてあげていたものね……)と悲恋の代表の人魚姫すら羨ましくなって、ちょっぴりしんみりしてしまう。
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