JK幽霊の暇つぶし

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 昇降口を出て校門へ向かう西君の隣を歩きながら、西君に話しかける。本当は地面からほんの少し浮かんでいるのだが気にしない。  「西君。和歌はいい子なの。前髪が変わったの、気が付いた? スカート、ちょっと短くしたんだよ。明日見てね。可愛くなったんだから。あのね、私が教えてあげたんだよ。これって自慢げかな? でも誰も気が付いてないんだから、言うくらい、いいよね。それにどうせ西君にも聞こえないんだもんね……」  校門から西君が出ていく。私はその一歩手前で立ち止まった。外に出てもいいはずなのに、なぜかいつも勇気が出ない。学校から出てしまったら、ただの地縛霊になってしまう気がするのだ。  復讐の座敷童。そんな不本意な名前でも、美環高校の中では幽霊の私が存在する理由があるから、そう思うのだろうか。  無理に学校の外に出る必要もないよね……。  「西君、また明日ね!」  遠ざかる後ろ姿に手を振って見送る。西君が横断歩道を渡っていく。  「あれ……?」  違和感に首を傾げた。通りの向こう側で、西君が若い女の人とすれ違った。遠くに見えるその女の人は、顔がはっきりと見えないが、どことなく見覚えがあるような気がした。誰だろう? 気になって目を凝らす。  私服の高校生の可能性もあるが、もう少し年上のように見える。  肩よりも少し長い髪は、毛先がくるんとカールし、少しだけ茶色く染めている。高校生以上の学生さんだろう、と見当を付ける。
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