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私は学校に戻ろうとして、もう一度振り返った。彼女も私を、というか美環高校を見ている。
「もしかして……、紬?」
大学に入ると女の子は変わるとは、生きている時によく聞いたことだけれど本当だ。髪型を変え、薄化粧をし、制服を脱いだ紬は大人っぽくきれいになっていた。けれど、私は眉をしかめた。
「紬、ダイエットしすぎじゃない?」
会えてよかった。けれど、元気そうだとはお世辞にも言えない。そういえば、もともとポッチャリ気味だったのに、美環高校を卒業するころには、痩せている方になっていた。
紬は私が生きている頃から、紬はよくダイエットをしていたけれど、いつも三日と続かなかった。そして挫折した時には、二人で学校帰りにドーナツ屋さんに寄るのが定番だった。
「ダイエットするほどじゃないよ」と私が慰めると、紬がドーナツの穴から覗いてきて「ホントに?」と笑う。
だから私とドーナツ屋さんに寄り道しなくなって、ダイエットがうまくいったのだと思っていたけれど、大学に進学してからも痩せ続けているようだ。本当にそんなに痩せる必要なんてないのにって言ってあげたい。
「紬ー!」
懐かしい顔に、大きな声で呼びかける。校門のギリギリまで駆け寄って、頭の上で大きく手を左右に振る。
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