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「紬、大好きだよ! だから、生きて! 楽しんで! 笑って……生きて!」
私の願いは、ダムから放流された水のように勢いよく、まっ白な飛沫をあげて紬に向かって逆流し、紬のつらい気持ちも私を染めていた黒い靄も空に押し流した。
「大好きだよ、ありがとう……」
紬の記憶の底にひっそりと隠れていた声が聞こえた。その震える声が、黒い靄のかわりに私を満たす。体を見ると元通り透明に透け、ほのかに輝いていた。
イラスト:ハナ様
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