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もしかして、成仏したらお供え物を味わうことが出来るようになるのだろうか? せっかくお母さんが私のために買ってくれたミルクスフレプリンもパリパリ焼きシュークリームも食べられないと思うと、なんだか悔しくて悲しい。
お母さんはしばらく手を合わせてから、シュークリームを片手に立ち上がった。そしてスティックのカフェラテの粉を大きなマグカップに入れると、紅茶のティーバッグを垂らしてお湯を注いだ。
コーヒーと紅茶を混ぜて作る鴛鴦茶(えんおうちゃ)という飲み物を、自己流にアレンジしているのだと言っていたことを思い出す。
「本場の香港ではユンヨンツァーって言うのよ」と得意げな顔をして教えてくれたっけ。
生きている時はお母さんに「飲んでみる?」と聞かれても「えー、コーヒーと紅茶を混ぜるの? いらない」と断っていたが、一度くらい飲んであげればよかった。
お母さんが鴛鴦茶を手に持ち椅子に腰かけながら、隣の椅子もちょっと引いた。
「お母さん、気がきく!」とふざけて言う。
椅子がテーブルの下に仕舞われたままだったら、私はお母さんの隣に立っているしかないところだった。まさか私のために椅子を引いたのではないだろうけれど、と思いながら椅子に腰掛けると、「さ、一緒に食べよう」と、お母さんが言った。
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