JK幽霊の暇つぶし

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 私はちょっとカチンときた。だからもう少しイタズラしてあげた。本当はもっとやってもいいくらいだが、昼間の私に出来ることと言えば、シャーペンの芯を折ったり首筋に冷たい手で触ったり、耳元で叫び声を上げる事位しかないのだ。  夜になれば、もう少し出来ることは増えるが、その頃には学校は無人だ。仕方なく冷たい手で彼の首を両手で絞めるように触りながら、耳元で金切り声で叫んでみた。  『謝れえええええええ! 二度と苛めないって誓えええええええ!』  幽霊になってよかったことの一つは、思いきり大きな声で叫ぶことが出来るということだと私は思う。ああ、気持ちがいい。  彼は学生服が緩くなったように見える程、大きな体を縮こまらせ「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」と繰り返し謝った。きょときょとと空中に視線を泳がせながら。  その様子を眺めて、私は満足してウンウンと頷いた。もしまた何か悪さをしたら、その時にまた考えよう。私は彼の首から手を離してあげた。  翌日、「復讐の座敷童がまた出たらしいよ」という噂が学校に広まっていた。「アイツ、いつかやられると思っていたよ」「自業自得……」というささやきを聞く限り、昨日、あの子にお仕置きしたのはやはり正しかったと一人うなずく。  しかしやってもいない事まで噂に尾ひれが付いて語られてしまった。
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