JK幽霊の暇つぶし

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 お母さんは手に持ったスマートフォンを再び開いた。そしてカシャッと写真を撮ると、メッセージを添えて送信し、空に手をかざして空を見上げた。  見えているのは虹だ。だけど虹だけじゃない。パラッと降りかかった名残のお天気雨の粒が頬に触れた。お母さんはクスクスと笑った。これはきっと、いたずら好きなあの子のアピールに違いない。だってあの子の笑顔が、虹の向こうに見える気がするから。もしもさっき書いていた懸賞はがきで、特別なチョコレートが当たったら、あの子と一緒に食べよう。  「だから、あの懸賞当ててね」と、手を口の横に添えて内緒話をするように言うと、クスクス、とあの子によく似た笑い声を立てた。
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