JK幽霊の暇つぶし

9/57
前へ
/57ページ
次へ
 それなら家に帰って様子を見てくればいい、という意見はもっともだと私も思う。  もしかしたら学校を出て家に帰ることも出来るのかもしれない。 けれど幽霊になってから、私はずっと学校にいる。校門まで行った事はある。けれど敷地を出ようとしたら急に怖くなって、門の向こう側へ足を踏み出すことはできなかった。  もしも門を越えてしまったら、なにか取り返しのつかないことが起きるような、そんな気がしたのだ。  それに家族が悲しんでいるのを見るのは辛い。だから結局ずっと学校で寝泊りしているのだ。幽霊の私に寝泊りという言葉が合っているとすればだけれど。  学校は楽しい。だから同級生の友だちが皆卒業してしまっても、私は学校に残って、新たに入学してくる子達を迎えている。私は幽霊だとはいえ、同じ制服を着ている年上の先輩。そして後輩たちは皆、私のかわいい弟と妹なのだ。  だからイジメは許さない。  上履きを隠されている子がいたら、夜中にそっと靴を戻しておいてあげる。そしてもちろん、隠した子の上履きは隠しておく。なぜなら言葉で諭そうにも、私の姿は見えないし声も聞こえないから、同じことをやり返すのが一番手っ取り早いのだ。 それに同じことをされたら、否応なくやられた側の気持ちがわかると思う。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加