JK幽霊の暇つぶし

　復讐の座敷童、なんて恐ろしい名前で呼ばれている私も、つい二年前までは美環高校の生徒だった。二年前に突然の事故で死んでしまい、気が付いたら幽霊になっていた。つまり卒業していないОＧだ。

　事故のあった日のことは、まるまる一日、覚えていない。生きていた最後の一日がどんな日だったのか気にならないと言えば嘘になるが、もし事故の瞬間を覚えていたら、PTSD（心的外傷後ストレス障害）とかいうのになってしまうに違いない。最後の一日の記憶は、だから、仕方のない代償なのだろう。

　そして私が成仏出来ない理由は、おそらく心残りがあるからなんだと思う。
　でもそれは当たり前だ。花のJKだった私は、毎日を楽しく過ごしていたけれど、何かを為し遂げたわけじゃない。

それに友達、特に親友の紬（つむぎ）とはもっともっと笑い合いたかったし、素敵な恋だってしたかった……。それだけで心残りの要因としては充分だと思う。

　とにかく、私はこの世からいなくなってしまった。少なくとも、今生の世からはそう見える。しかし実際には成仏できず、まだ私がこの世にいると知ったら、両親はどんな顔をするだろう？

　がっかりするかな……？　いや、きっと心配するだろう。私の事は忘れないで欲しいが、それと同じくらい、家族には元気で楽しく暮らしていて欲しいと願っている。イラスト：ハナ様