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秘密結社「優しくしてね」が送り込んだ今日の怪人は見た目が人間で戦闘力も低いから楽勝だと思っていた。だが、俺がぽかぽか怪人を殴っている姿を見た誰かがお巡りさんに通報しやがった。
「おいキミ!やめたまえっ」
お巡りさんに制止されたから、相手が怪人であることを説明した。
しかし怪人はニヤリと笑ってお巡りさんに言いやがった。
「お巡りさん助けてくださいよ。何もしてないのにこの人がいきなり殴ってきたんです」
卑怯者め、さすが怪人だ。
「ちょっと来たまえ、事情聴取だ」
俺はパトカーの後部座席に座らされた。
その時、ブオーンと非力なエンジンをブン回す音が聞こえた。
遠くから軽トラが猛スピードで近づいてきて駅前ロータリーで止まった。
車の中から全身黒タイツ姿の人型が早く早くと怪人を手招きしている。
「あ、お巡りさん!あの軽トラ絶対スピード違反でロータリーに入って来ましたよ!違反切符を切らないと!」
「具体的に何キロオーバーとか分からんしなあ」
青切符か赤切符か判断出来んと言うことか?そんな問題か?
怪人はこっちをチラッと見てから軽トラの荷台に飛び乗った。黒タイツは今度は安全な速度で軽トラを走らせた。
「お巡りさんっ!速度に関係無く荷台に人を載せて走ったら道交法違反でしょっ?」
「人を載せたらね、でもあれは怪人なんだろ?」
なぜ急に納得した?
「黒タイツが運転してたから怪人だったことは確認できた。時間を取らせて悪かったね。ご協力感謝します」
判断基準は黒タイツか。俺は解放された。自転車では軽トラに追いつけない…今回の勝負は引き分けだ。
怪人たちは走り去り、カップうどんは伸びきってしまった。
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