カブト虫

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 カブト虫  あれは、忘れもしない三年前の出来事だ。  僕とマモルは家から近い山にカブト虫を取りに行った。  もう、僕達はカブト虫を取るのに慣れている。  クヌギの木を揺さぶったり、時には木に登り、一日に多い時で五十匹も捕まえる時だってある。  しかし、沢山捕まえても誰かにやったり売ったりする訳ではない。  虫かごに入れたカブト虫は翌日、カブト虫同士で格闘を行い全滅状態だ。 それでも、僕達はカブト虫を取りに行く。  ただただ捕まえるのが楽しいだけだ。  この日も、僕とマモルは山にカブト虫を取りに行った。  そしてクヌギの木の上を見たら、大きなカブト虫がいた。  マモルは木に登りカブト虫を捕まえようとした。  マモルは木に付いた蜜に手を滑らせ、僕の頭にマモルが落ちて来た…… 僕達は、どれくらい意識を失っただろう。  僕達は目を覚ますと、大量のカブト虫のカゴの中に入っていた。 カブト虫は突然、僕達を襲って来た。  僕達は逃げず、必死で戦った。 しかし、カブト虫も強い角で襲い掛かって来る。  僕とマモルは二人でカブト虫をやっつけた。  僕は、マモルと握手をしようとした瞬間、マモルは僕の手を払い退けた。  闘いは終わっていなかった。  虫かごの世界の勝者は一人のみ……  僕は必死に逃げまくった。  マモルは襲い掛かって来た時、手に付いた蜜がカゴに触れて、身動きが取れなくなった。  僕は咄嗟に死んだカブト虫の角でマモルを突く手前で僕は現実に戻った。 マモルは、僕の隣で倒れたままだ。 「マモル、大丈夫か!目を覚まして!」 僕は、何回もマモルの顔を何回も叩いた。 「痛いよ……」 マモルも目を覚ました。 僕とマモルは、お互い謝り合った。 「ごめんね……僕達どうかしてたよ。」 僕達は虫かごの扉を開けてカブト虫を全て、森の中に返した。 僕達は森の中で大きく叫んだ。 『広い世界っていいな!ごめんね、カブト虫……』  
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