サイゼリヤを知らない?

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「あんたとじゃ未来が見えない」  志保は冷たい目で僕に言った。  大学一年の頃から続く六年のつきあいが、終わった。  彼女は大手広告会社のクリエイター、僕は一浪で入学した大学で、二回留年してまだ卒業できていない。現時点で就活も全敗だ。  志保が僕に見切りをつけたのも無理はない。  でも今年こそ卒業するつもりなんだ。もう少し時間をくれないか。 「あと5分で卒業できるとかじゃないでしょ? もう待てないの」 「そんな……」 「その自信なさげな口調がイライラするの!」  そう言い捨てると、志保は僕に背を向けて歩き出した。  苦笑いしか浮かばない僕が空を見上げると、一面、星が輝いていた。 「星降る夜ってこんな空を言うのかな……」  流れ星がいっぱい流れるから星降る夜って言うんじゃない、と教えてくれたのは志保だったなーと思いながら、僕はフラフラと歩く。 「危ない!」  その声は誰の声だったのか。  右から何かのライトが僕を照らす。眩しさを堪えて右を見ると、視界いっぱいに広がるものが見えた。  トラックだ。  そう思ったときには遅かった。  生きてきた中で一番の衝撃が僕の全身を襲った。黒と白と黒と白……、何度か世界が反転したような気がした。
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