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気が付くと、僕は病室のベッドにいた。
目を覚ますと、母と看護士がいた。「どうしたの?」と僕が言うと、看護士さんがトラックに轢かれ、病院に搬送されたことを教えてくれた。
幸運なことに打撲だけで、命に関わる症状はないとのことだった。特に手術もなく、検査入院だけで帰れるとのことだった。
「お父さんも心配してたんだけど、どうしても仕事を抜けれなくってね。あんたが目を覚ましたことを電話してくるわ」
そう言って母は病室を出て行った。
「わかった」と返して、僕は手元にスマホがないことに気づく。看護士さんに尋ねると、スマホはトラックに踏みつぶされたため、壊れてしまったということがわかった。
「まぁ……スマホぐらいならいいか」
と思いつつも僕は自宅のパソコンにバックアップがちゃんと取ってあったかが気になった。
「大学とバイト先には連絡しなきゃかな」
「どちらの大学なんですか?」
看護士さんが質問してきた。
「あ、K大学です」
「わ、頭いいんですね」
看護士さんの顔が輝いたような気がした。一浪、二留していることは伏せておいたほうがよさそうだ。
「バイトはどんなのをしてるんですか?」
続けざまに質問がきた。
「あ、ファミレスです。サイゼリヤでホールやってます」
「……ん? どこですって?」
「サイゼリヤです」
「サイゼリヤ? ごめんなさい、知らないなぁ……。デニーズとかジョナサンは知ってるんだけど」
ん? サイゼリヤを知らない?
あんなにチェーン展開しているのに?
まぁ、そういう人もいるのかな……。この人はお嬢様なだけかもしれないし(でも、デニーズやジョナサンは知っているのか?)
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