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「一花。君には、母を安心させたいから彼女のフリを頼んだ」
私は、小さくうなづいた。
「母を安心させたいのは紛れもなく本心だ。だけど……彼女のフリをさせたのは、俺が本当の想いを素直に言えなかったからだ」
「本当の想い?」
「ああ……俺が、ずっと胸に隠してた想い」
絢斗は、また一歩、歩み寄った。
その一歩がとんでもなく近く感じて、私の胸を高鳴らせる。
「俺は……」
思わず息を飲む。
「俺は、一花が好きだ」
えっ……
一瞬、私の中の時間が止まった。
ちょっと……待って……
そんなの、嘘だよ。
「あの、私……ちょっと混乱して……」
ううん、本当はものすごく混乱してる。
さっきから恐ろしいスピードでドキドキが加速して止まらないよ……
戸惑う私の前まで来て、絢斗はさらに続けた。
「彼女のフリは、嘘。本当は、最初から一花が好きだった。なのに……素直に言えなくて、本当にすまなかった。一花……俺と付き合ってくれ」
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