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覚悟と前進
フランスでの出来事は、私を心の底から幸せにして、日本で起きた嫌なことをかき消してくれた。
萌佳のことはもちろん気になっていたし、いつかはちゃんと話がしたいと思っていた。
ううん、絢斗のおかげでそう思えるようになった。
今は、仕事を休んだ分、私は全力でお客様に喜んでいただけるサービスをと張り切っていた。
カウンターにいる山内チーフも、私と絢斗のことは敢えて聞かず、徹底してお客様サイドに立って仕事に取り組んでいて、改めてすごい人だと感心した。
茅野君も……
毎日笑顔で頑張っていて、私まで嬉しくなって元気をもらってる。
「松下さん、こんにちは」
そう声をかけてくれたのは工藤様だった。
工藤様には、アデルのことを伝えたかったからちょうど良かった。
「少しいいかな?」
「はい」
私はカウンターを出て、今回は部屋ではなく、工藤様が好きだというホテルの中庭に出た。
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