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その声の重み、私の胸にズシンと響いた。
工藤様は、そこまで私を……
「……申し訳ありません。やっぱり工藤様のお気持ちを受け取るわけにはいきません。私は、総支配人を想っています。なので……工藤様とは……」
頭を下げたら、工藤様は、
「やめてくれないか、頭を上げて。好きな女性に見事にフラれて頭を下げられたら……虚しくなる」
そう言って、空を見上げた。
「本当に……申し訳ないです」
「……」
私は、それ以上、何を言えばいいかわからなかった。
「君と2人でいられたら、いつだって俺は、その横で執筆を頑張れる。どんなにスランプでも君の笑顔さえあれば乗り越えらるって……そう思うよ。でもそれは……もう叶わないのか」
落胆の表情と工藤様から溢れ出す色気が、中庭の景色と相まって、まるで雑誌の1ページのように美しく輝いてみえた。
やっぱり、この人に相応しい女性は、私なんかじゃないと……そう感じた。
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