5169人が本棚に入れています
本棚に追加
萌佳の顔色が、急に暗くなった。
「どうしたの?」
「言ったら、もう許してもらえない。でも……やっぱり、謝りたい」
萌佳は、涙をいっぱい溜めながら話しを続けた。
「茅野君との3人での飲み会の時、帰りに暴漢に会ったでしょ?」
どうしてそれを?
萌佳には言ってなかったのに……
「あの男……私が雇ったの」
え? 嘘……
萌佳が雇ったってどういうこと?
「もう、あの時、私、めちゃくちゃにおかしくなってて、総支配人が好きでたまらなくて。一花を怖がらせて、それを茅野君が守れば、2人がくっつくんじゃないかって……」
「萌佳……」
「人間として最低……だよね。さっき、一花があのオヤジから必死に助けてくれて、友達だからって言ってくれて……すごく嬉しかった。私、本当にひどいことしたのに、それでも一花は守ってくれた」
萌佳は、心から悔いている――震える手を見てそう思った。
「私、取り返しのつかないことしちゃった……茅野君まで傷つけて。でも、あいつ、怖がらせるだけで、まさか切りつけるなんて……」
最初のコメントを投稿しよう!