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萌佳は顔を両手で覆って、大声で泣いた。
「……茅野君には本当に申し訳ないことをしたよね。そのことはダメだったと思う。でも……私は萌佳を許すよ。だって私、萌佳が総支配人を好きなのに、それを知らなかったにせよ、嬉しそうに萌佳に同居のこととか話してしまって。もし、逆の立場ならたまらないよ。苦しくて泣きたくて、どうしようもなかったと思う……」
萌佳は私を見て、ぐちゃぐちゃに濡れた顔をさらにまた涙で濡らした。
もう、涙が枯れてしまうんじゃないかってくらい、いっぱい泣いた。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい……一花、ごめん……ごめん……」
「茅野君には一緒に謝ろう。茅野君なら絶対に許してくれるよ」
「……うん、わかった……」
私は萌佳の頭を撫でて、そして、笑顔で言った。
「ずっと、苦しませてごめんね。これからは、前だけ向いて励まし合って仕事頑張ろ」
萌佳も泣きながら笑顔を作って、何度もうなづいていた。
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