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硬貨3円目 真相
「はぁ、この自販機壊れてるんじゃないの......。」
自販機を見つつ、愚痴を呟き、財布の中にも、ため息を漏らす。
暑いのに、無駄にしゃがんだせいで更に身体が熱くなってきた、息が荒くなって、汗もダラダラだ。
そんな思いの中、自販機を見ていて1つの気づきがあった。
「え、160?」
思わず声が出る事態に遭遇した、今頃になって気づいてしまったのだ。
お目当てのペットボトルの炭酸飲料は150円では買えないことに、160円必要だと。
壊れていたのは自販機ではなく、暑さにやられた自分だったということに。
財布を再び漁る羽目になった、面倒だ。
自販機でジュースを買うだけでここまで苦労したのは幼い頃以来、お恥ずかしい限り。
というか暑い、おかしいぐらい暑い、こんなに暑くなかったら気づけてたはず......だと思う。
手を陽射しに向け、影を頭に形作りながら、財布から先程拾った落し物の10円を取り出し。
投入──。
150から160へとパネルの表示が切り替わる。
指は既に、ボタンの傍に居座っている。
準備は万端だ。
「ピッ、ガランガラン」
そして購入完了、今回はちゃんと機械音が鳴るのが耳に聞こえてきた。
ちゃんと取り出し口にあるかを確認。
今回はしっかり、
──何かある。
しっかりと目当ての商品が横たわっていると思われる、そして早く飲みたいという心の訴えを受け止め、商品を守るためのトビラに手をかけ開く、その中にはやはり目当ての炭酸飲料のCOLE《コール》が入っている。
手を取り出し口に突っ込み、COLE《コール》を握りしめる、ひんやりと冷たい。
触るだけで分かる、これは確実に美味しいやつだ。
手を引き戻し取り出して、首付近に近づけ、身体中を順々に冷やしていく、確信。
これがないと、多分5分間後には死んでた。
本来の飲む物という、役目を忘れて別の用途に数秒使い、身体を魔法をかけたかのように癒していく。
「はぁ、幸せだ......。」
今までの、心底暗いため息ではなく、幸せすぎるが上のため息を口から外に放ち、現状の甘々な状態を噛み締める。
だが、これだけでは終わらないのが冷えた飲料の素晴らしいところだ。
なんと凄いことに
──飲めるのだ!
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