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硬貨4円目 サービスタイム
本当に本当に、当たり前なことな気がするが、暑い陽射しに当たり続け、死にかけると気づく。
これって、かなり革命的だと。
そしてこの革命を道端で起こす、自販機に感謝してしまうのはしょうがないことだろう。一時期、気の迷いで、こいつ壊してやろうかな? と思ってしまったが、今はもう昔のこと、水に流そう。
そして、身体の中にCOLE《コール》を流し込もう。
身体の外側を冷やせて、内側も直接冷やせる、これぞ革命と呼びたくなる所以。
よし、今日も生きて帰れる。
そう思っていた矢先のことだった、再びあれが起こったのは。
陽射しの中から空を切るように登場する、謎の物体。
自販機で購入を済ませて、その場から立ち去ろうとしてからすぐにこの悲劇は起きた。
彼の頭上にキラリと光る2つの物体が迫りくる。
それは唐突に、そして自然的に、彼の幸せを奪っていった。
──無慈悲な二連撃。
「イ...イッタ!? いきなりなんなんだよ」
空から頭に当たるまでブレることなく真っ直ぐに激突、1つ幸いな事に彼の頭は石のように固かった為、傷が付くことなく、無事閉幕。
──となるはずもなく、悲劇の連鎖は途切れてはくれない。
悲しきことに、目の前に黒き液体が散乱している。
それは、彼が今この場で一つだけの生きがいといえるものだった。
先程購入した、COLE《コール》。
その無残な姿が眼前に広がる。
「あっ、あぁ......。嘘...だろ。マジなのか......。」
マジである──。
意識が朦朧とする、これは熱中症のせいか、それとも今の出来事のショックの大きさゆえか、気絶しかけて、地面に膝を着いた。
アスファルトの地面はやはり熱い。
痛いほどに、熱い。
それが心の痛みと混ざり合って、効果は絶大。
至るところが火傷による大ダメージだ。
そして、彼に追い打ちをかけることはまだ残っている。
泣く為の涙すら、流れないのだ。
汗で、身体の流していい水分を随分と流してしまったせいか、身体が流してよしとしてくれない。
絶望的状況、そう呼ぶに相応しい絵面がここに完成した。
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