硬貨4円目 サービスタイム

1/1
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

硬貨4円目 サービスタイム

本当に本当に、当たり前なことな気がするが、暑い陽射しに当たり続け、死にかけると気づく。 これって、かなり革命的だと。 そしてこの革命を道端で起こす、自販機に感謝してしまうのはしょうがないことだろう。一時期、気の迷いで、こいつ壊してやろうかな? と思ってしまったが、今はもう昔のこと、水に流そう。 そして、身体の中にCOLE《コール》を流し込もう。 身体の外側を冷やせて、内側も直接冷やせる、これぞ革命と呼びたくなる所以(ゆえん)。 よし、今日も生きて帰れる。 そう思っていた矢先のことだった、再びが起こったのは。 陽射しの中から空を切るように登場する、謎の物体。 自販機で購入を済ませて、その場から立ち去ろうとしてからすぐにこの悲劇は起きた。 彼の頭上にキラリと光る2つの物体が迫りくる。 それは唐突に、そして自然的に、彼の幸せを奪っていった。 ──無慈悲な二連撃。 「イ...イッタ!? いきなりなんなんだよ」 空から頭に当たるまでブレることなく真っ直ぐに激突、1つ幸いな事に彼の頭は石のように固かった為、傷が付くことなく、無事閉幕。 ──となるはずもなく、悲劇の連鎖は途切れてはくれない。 悲しきことに、目の前に黒き液体が散乱している。 それは、彼が今この場で一つだけの生きがいといえるものだった。 先程購入した、COLE《コール》。 その無残な姿が眼前に広がる。 「あっ、あぁ......。嘘...だろ。マジなのか......。」 マジである──。 意識が朦朧(もうろう)とする、これは熱中症のせいか、それとも今の出来事のショックの大きさゆえか、気絶しかけて、地面に膝を着いた。 アスファルトの地面はやはり熱い。 痛いほどに、熱い。 それが心の痛みと混ざり合って、効果は絶大。 至るところが火傷による大ダメージだ。 そして、彼に追い打ちをかけることはまだ残っている。 泣く為の涙すら、流れないのだ。 汗で、身体の流していい水分を随分と流してしまったせいか、身体が流してよしとしてくれない。 絶望的状況、そう呼ぶに相応しい絵面がここに完成した。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!