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やさしさの神と天使のぼうや
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ここは、どこまでも青い空と、まっしろな雲の上。
場所の名を、" 天界 "
たくさんの神々と神に仕える天使が暮らす場所。
雲でできた椅子の上に、
大きな杖をもった長い白髭のおじいさんと
ちいさな羽を生やしたくるくるパーマのこどもが
仲良く腰掛けている。
「ねえねえ、やさしさの神さま〜?」
『なんだい、天使のぼうや』
天使のぼうやの前には、
お互いへのやさしさを失い、歪みあうにんげんたちの映像がぼんやりと映し出されていた。
その争いの理由は、宗教、人種、国、いろいろあったが、ぼうやには全てが同じ"にんげん"にしか見えないのだ。
「にんげんたちはどうして、
やさしさを忘れてしまうのかなあ?」
『そうだねえ』
やさしさの神さまは少し考えながらいった
『やさしさは時に自分をすり減らさないと
使えないときがあるのじゃよ、ぼうや』
「そうかあ、ぼくにはよくわからないな」
納得いかないぼうやを、微笑ましくみた
『いつかぼうやにもわかるときがくるさ』
そう言って、
やさしさの神のおじいさんは懐から巾着をとりだした
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