0 夢の中の俺様男

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0 夢の中の俺様男

今日も、また‥ あの夢を見る 紅く染まる空に赤い海‥ 砂浜に座る私こと水無月果穂(17)は隣で無駄にでかい黒羽を広げる男と一緒に海を眺めていた。  「おい‥海入ろうぜ」  「絶対、やだ」 お決まりの台詞から始まり、お決まりの台詞を返し‥  「泳げねぇのか?鈍臭ぇから」  「は?泳げるし」 意味分からない会話を交わしながら、ここでいつも夢から覚める しかし‥‥ 今日の夢はいつもとどこか違った  「こっち向け」  「は?」 強引に顎を持たれ彼の方へ寄せられれば予期せぬ展開へと進展させた 彼の顔が近づき‥  「目、開けてんじゃねぇよ。瞑れ」 偉そうな口ぶりで命令すれば私は自然と目が閉じていく 夢だから仕方がない‥。とその瞬間 生暖かい感触が私の唇にあたり‥ それが彼の唇だと認識するのに時間はかからなかった 夢の中でのファーストキス‥‥  「これで契約完了だ。お疲れさん」 (へ?契約完了?なにそれ‥‥‥) と黒い笑みを零す彼の顔が徐々に薄れていき‥‥ 夢から覚めれば‥  「‥夢だよね」 夢だという事にいつもなら安堵するが、この時ばかりは一味違っていた。
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