23人が本棚に入れています
本棚に追加
あやねの巧みな罠にハマり、ついに思いの丈をぶちまけてしまった梨々子は、もはやわけがわからず赤ら顔で前後不覚だ。誰もが大丈夫か?と思うほどに無言・半笑いで固まった次の瞬間、一心不乱にミラノ風ドリアをもの凄い勢いで食べ始めた。
「ああああンン美味しいなー!やっぱサイゼったらこれだよねー!アハハハー!」
虚な眼差しの梨々子はドリアを45秒ほどでたいらげ、ピンポンを押しまくる。だがその必要もなく、隣のテーブルを掃除していたアイドル店員厚見さんが、踵を返して駆けつけた。
「お呼びですか?」
「あ、あーしね、これおかわり!おかわりするのー!」
「はい承知しました」
厚見さんは左30度に傾けたエンジェリック・スマイルで注文確認する。
「ミラノ風弱マッチョ、追加ですね!」
…無駄にヒートアップした店内に、この時確かに、一陣の爽やかな風が吹き抜けた…
最初のコメントを投稿しよう!