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うっすら涙目の梨々子を見てあやねは何かを察し、静止する。彼女はグループのリーダー格で頭が良く、何の分野かはわからないが時折「師匠」と呼ばれるほど人望が厚い。
「もういいでしょ!ほら梨々子も筆音も落ち着きなさいよ、筆音全然濡れてないじゃん。健五くんも謝ってんだしさ」
「まあ師匠がそう言うなら…ごめん健五くん」
「悪いのは僕だよ。こっちこそごめんね筆音さん」
あやねの機転と健五の穏やかさで、いきりたった一同はひとまず落ち着いた。改めてピンポンを押し、やってきた女性店員に注文を告げる。
その店員…キュートなサイゼリヤのユニフォームがことさら似合い、華々しささえ振りまいている。胸には「厚見 玲」の名札。
小柄で愛らしく雪のように白い肌、ハンチングからこぼれるツインテールが破壊力抜群の厚見さんは、付近の高校生から絶大な支持を集めるアイドル店員だ。非公式ホームページもあるとかないとかどっちなんだ。
「はいお待たせしました!」
右30度に傾けた天使の笑顔にポーっとなる健五。それが面白くない梨々子は、いきなり彼の右腕にしがみついてブーたれる。ちなみに梨々子は150cmそこそこの低身長ながら反則的な巨乳という、限られた領域では熱狂的に迎えられるリーサル・ウェポンである。
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