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「いやぁ、あれは絶対審判がおかしいだろ。今さら言っても、しょうがないけどさ」
何度同窓会をしてもこの話題は必ず上がる。野球部がいればなおさらだ。
いくつもの丸テーブルがある中で、俺が座る席は野球部に囲まれた。
もちろん俺がそうだったから、その輪に居るのは自然なことだ。
「ほんとほんと、なんであの当時抗議しなかったんだろうな」
「今思い出しても腹が立つよ」
口々に当時の審判の悪口を言うかつてのチームメイトに、バツの悪い気持ちがにじみ出る。
仮にこの話題を止めたくて、審判をかばったところで、「お前のせいで」と言われる可能性だってあるのだ。
お前がちゃんと構えてさえいれば、お前がちゃんと当時審判に抗議していれば。
自分が野手ならそう思うだろう。
誰も口にしないだけで、この悪口は俺に向けてのものともとれた。
この話題を聞くたびに、年々同窓会に行くのが辛くなる。
「ほ、ほらそんなことより、宮本は最近どうなんだよ? 役職ついたんだって?」
「へえ、宮本出世したんだ。なにしてんだっけ」
どうにか話題をずらすも、胸にかかったつかえがとれることはない。
俺にとって終わったはずのあの夏が、いつまでたってもちゃんと終わってくれないからだ。
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