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「…………あぁ分かったぞ。お前、二人やグレイスに催眠魔法をかけたな」
「は?」
「でないと、お前のような悪人をグレイスが大事にするわけがない!!」
そう言い切ったロイドに、ガウスは口を開けたまま呆然とし。メアリーとロックは視線を合わせると、同時に頭を抱えた。
「……お前、被害妄想激しいな」
「誰が被害妄想だ!!事実だろう!!お前は俺の大事なグレイス達に催眠魔法をかけ、自分の都合のいいように操っているんだ!!でないと、おかしいだろうが!!」
「おかしくねぇわ!!大体、誰が好き好んであんな奴の恋人になりたいなんて思うか…………あ」
「は?……こい……びと?」
「ガウス様……それは今、一番言ってはいけない言葉……」
しかし時すでに遅し、場の空気は完全に凍り付いてしまっていた。
「チッ。しまった」
「しまったってなんだ!!まさかお前……本当にグレイスと……」
「ロイド様、落ち着いてくださっ」
「オイ、勝手に勘違いしてんじゃねぇぞ。俺は絶対、あんな野郎の恋人になんかならねぇ」
「はぁ!?なんだその上から目線は!!というかその言い方だと、グレイスの方からお前に告白してきたみたいじゃないか!!」
「実際そうなんだが?」
完全に修羅場と化した現状に、メアリーとロックはただただ冷や汗を流す。
「有り得ない!!有り得ない有り得ない有り得ない!!なんでグレイスがお前なんかを!!」
信じられない、信じたくない。
しかし、ガウスの薬指にはめられた指輪が、ロイドに証拠を突きつけるように、キラキラ輝きを見せていた。
「ゆる、さない」
「は?」
「お前だけは絶対に許さない!!」
怒りに声を荒げるロイドは、テーブルに立てかけていた自分の剣を引き抜き。ガウスに向けて刃を突きつけた。
「俺と戦え、ガウス」
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