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「ッーー!!はっ……はぁ……はぁ……」
服が張り付くほどの汗を流しながら、ガウスはいつものベットで目を覚ました。
「俺は……なんで寝てるんだ」
ズキズキと痛む頭を手で押さえ、今に至るまでの記憶を思い出そうとするガウスだが、先ほどまで見ていた悪夢とごっちゃになってうまく思い出せない。
「っ……クソッだりぃ」
とりあえずベットから起き上がろうとするが、まるで鉛のように全身が重たくなって、思うように動けず。再び枕に頭を預けてしまう。
「はぁ……なんだこれ」
今まで感じたことのない身体のだるさと、頭痛、そして寒気に、ガウスは戸惑いと苛立ちで溜息をこぼした。
すると、その溜息を聞きつけたかのように扉を開けて入ってきたのは、水の入ったボウルとタオルを持ったグレイスだった。
「起きたのですね。大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるのかよ」
「いいえ。ロイドさんにあそこまでやられたのですから、大丈夫とは思えません」
「……あぁ、そうだったな。クソッ」
ようやく自分が何故ベットで寝ていたのかを理解したガウスは、自分の腕を見たり、腹部を触って傷を確認するが、目立った傷が見当たらないことに眉間に皺を寄せる。
「オイ。まさかテメェが治したのか」
「いいえ。執事のロックさんが回復魔法を使えるので、お願いしました」
「……チッ」
「しかしまだ身体は辛い筈です。先ほどから熱も引きませんし……今日はこのままゆっくりしていてください」
そう言うと、テーブルにボウルを置いて、タオルを水に染み込ませてギュッと絞るグレイスの姿に、ガウスは自分でも訳が分からない腹立たしさを感じ。勢いよく布団を剥がして無理矢理身体を起こした。
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