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「今日だけ、ここで寝ることを許可してやる」 「……えっ」 今までベットに潜り込むと怒鳴ってきたガウスが、自ら布団を上げて、グレイスに中に入るよう誘ってきた。 今まで自分を避けて、否定し続けてきたガウスが、初めて自ら受け入れようとしてきた事に、グレイスは驚きと動揺で耳をピンッと立てたまま固まってしまった。 それも、熱のせいでガウスの頬は赤く火照り。服は汗で少し濡れている。目付きはいつも通りだが、いつもとは違う雰囲気と、どこか艶やかな表情は、グレイスを興奮させた。 「その……い、いいのですか?」 「何度も言わせんな。入るならさっさと入れ」 「はい!!」 胸を高鳴らせながら、ベットの上に乗り。ドギマギしながら布団の中へ入るグレイス。 ガウスのすぐ側まで近づくが、いくら待ってもガウスは背中しか見せてこない。 「あの……こっちを向いてほしいのですが……」 「あ?」 「い、いえ……なんでも」 どうやら許してもらえたのは『同じベットで寝る』までだったようで、色々と期待していたグレイスは、ちょっとだけ残念そうに溜息を吐いた。 (しょうがない。急がなくていいと言ったのは自分だし) と、諦めて瞼を閉じた時。 唇に、柔らかな感触が触れた。 「!?い、今!?」 瞼を開けると、すぐそこにガウスのめんどくさそうな顔があり。さっきのは勘違いでも夢でもなく、ガウスからのキスだったと確信したグレイスは、あまりの嬉しさと興奮に耳がぴょこぴょこ激しく動く。 「ガウスさん!!も、もしかして、僕の事が!!」 「こんだけ近くにいて、しかも粘膜接触もしたんだ。これでテメェも、明日には熱出してぶっ倒れてるだろうよ。いい気味だ」 「……へ?」 そう言うとガウスは、再び背を向けてそのまま寝てしまった。 「い、今のは……照れ隠し……ですよね?ね?ガウスさん!?」 結局、あの日のキスの真実は分からないまま……二日後。 知恵熱なのか、ガウスのがうつったのか、グレイスは本当に熱を出して寝込んでしまったのである。
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