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「ガウスさん。その……デート……というものをしませんか?」 「……は?デート?」 「はい」 グレイスからの突然のデートのお誘いに、ガウスは目を丸くしたまま固まった。 少しずつだが、ガウスと前よりいい雰囲気になってきているのではないか?と感じていたグレイスは、もっと自分に興味も持ってもらおうと、恋人の定番行事であるデートを持ち出した。 特にガウスはここに連れて来られてから、ずっと屋敷の敷地以外の外には(強制的に)出ていない。 このままでは恋人というより、ただの拉致監禁している変態じゃないか。と、薄々思っていた事もあり。今回、ダメ元で誘い出してみたのだ。 「どう……ですか?」 「……」 そしてガウスもまた、外に出たいという気持ちはまだ諦めてなかった。 グレイスとデートというところは、色々と複雑な気持ちだったが。この誘いを断れば、外に出られる機会はもうないかもしれない。 ガウスは「行く」の二つ返事を返し。デートが決まった。 「では、準備してきます!!」 「は!?今からかよ!?」 「勿論です!!明日なんて待てませんから!!」 「……はぁ。はいはい」 「では、すぐに着替えてきますね!!」 耳をぴょこぴょこさせて、嬉しさを前面に出してくるグレイスに、ガウスは半笑いしつつも、自分も着替えをどうするか悩んでいた。 今はここに監禁されているが、ガウスは奴隷商人のリーダー。街を守っている剣士や魔法部隊には一部顔が割れている。 そんな自分が街中で顔を晒すのはまずいだろうと考えたガウスは、デートには似つかわしくないが。黒いフード付きのローブを着て、玄関の前で先にグレイスが来るのを待っていた。 「すみません!!お待たせしました!!」 コツコツと靴音を鳴らしながらやってきたグレイス。 その格好に、ガウスは思わず顔をしかめた。 「……お前、自分の存在忘れてねぇか?」 「え?おかしいですか?」 「おかしいわ」 まるで白馬にでも乗ってきそうな王子様風ファッションで登場したグレイスに、ガウスは「いつもの格好に戻してこい!!」と蹴りを入れ、即座に着替えさせた。 「ガウスさんとの初めてのデートですから、気合を入れたかったですのに……」 「あんな恰好で隣なんて歩けるか」 渋々いつもの白いコートに着替えてきたグレイス。正直それでも目立ちすぎていると感じていたガウスの予想は的中する。
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