44人が本棚に入れています
本棚に追加
「テメェ……なんで来たんだ」
ロイドが離れて、体制を立ち直したガウスは、拳を握りしめながらグレイスを睨みつける。
こうなった以上、グレイスは街の人からの信頼を失うだろう。それは本人が一番分かっていたはずだ。
それでもグレイスは、ガウスを助けに来た。
ガウスは、それが嬉しかったのだ。
口先だけじゃなく。こんな状況でも本当に自分の味方をしてくれたグレイスに、ガウスの気持ちは救われたのだ。
だが、それと同時にガウスの中では罪悪感が渦巻いていた。
自分のせいでグレイスまでもが、悪として見られてしまう事に。
「テメェは……ここに来るべきじゃねぇんだ」
「いいえ。ガウスさんを助けるのは、僕の役目です」
「違う!!俺を助ける必要なんかねぇんだ!!テメェは悪党なんかじゃねぇ……わざわざこっち側に踏み込んでくるな!!」
「悪とか正義とかどうでもいいんです。僕は、僕の守りたいものを守ります」
グレイスは剣を構え、ロイドに向かって飛び出した。
ロイドは凍った剣をすぐに炎で溶かし、グレイスの一振りを受け止めて薙ぎ払う。
「やはり貴方を倒すのは簡単ではなさそうですね。ロイド・アルフェルト」
「そうか?俺は負ける気がしねぇぜ?」
赤い剣と青い剣がぶつかり合い、火花を散らす。
まさに鍔迫り合いの戦いだ。
最初のコメントを投稿しよう!